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イベント情報

2014/01/27

共立女子大学 活字文化特別セミナー/内館牧子さん

「活字文化特別セミナー」(共立女子大学、活字文化推進会議主催、読売新聞社主管)が11月4日、東京・一ツ橋の共立女子学園共立講堂で開かれた。「第23回神保町ブックフェスティバル」の協賛イベントで、約1100人が参加した。「活字で養う女性力」をテーマに、脚本家で作家の内館牧子さんが講演した。続いて内館さん、共立女子大学の佐藤雄一、山本聡美両教授と学生が、「デジタル時代の活字離れ」についてトークセッションを行い、活字に親しむことの重要性などを話し合った。学生のしっかりした考えに参加者から大きな拍手が送られた。

 

共立3-2.jpg主催者挨拶 共立女子学園学園長・理事長 石橋義夫さん

このセミナーは、地域活性化と皆様の知的向上を目的に開催しています。学校という教育機関を有する私どもが、社会に対する役割を少しでも果たせることに充実感を感じています。講師の内館牧子さんは、私が大相撲の横綱審議委員会委員長を務めました際、委員でして、いわば横審の同級生です。内館さんは、人気ドラマの脚本執筆、東北大学相撲部監督をされるなど、才能と行動力には驚かされています。本日もこの共立講堂で、本学教授、学生とともに新しい内館ワールドを繰り広げてくださるものと、私も楽しみにしています。

 

基調講演 「活字で養う女性力」 内館牧子さん

女性力という言葉は、女の資質を共立4-2.jpg生かし、そして何か成し遂げたり、周りを巻き込んで何かを一つの方向に進めていったりする力ではないかと思います。
どうやったら養うことができるのか。二つの要素、外見と精神を磨くことが必要不可欠ではないでしょうか。人は外見じゃない、心だと言いますが、心だけでは、絶対に女性力、人間力にはならないと私は思います。顔の美醜の問題ではなく、外見をないがしろにしない意識は、今、当然の時代です。特に女性力における外見の錬磨は、侮れないと実感する場面は多くあります。
もう一つが、精神です。これは、活字によって養われることが非常に大きいと思うんです。もちろん、新聞でも、雑誌でも、読んだから、すぐ女性力が着くということではありません。でも、幼い頃から活字に触れる生活をするか、否かは人生に大きな差をもたらす気がします。
私は横綱審議委員として、共立女子大学の石橋義夫理事長とご一緒に、ずっと大相撲を見てきましたが、活字に触れることは、相撲の稽古と一緒なんです。読むということは、血になり、筋肉になります。
私が読書で一番いいと思うのは、書いた人の世界がそっくりもらえることです。今回、私は5冊推薦する本を挙げましたが、これも書いた人の研究成果、感性、とらえ方からすべてが1冊の中に入っている。活字は、読むだけで、書いた人のそれらを努力なくして吸収できる。何とも実にぜいたくな、手近な女性力の養い方だと思います。
女性力を着けるため、どんな本を読んだら良いか。自分の日常とは縁遠い本を選ぶことをお勧めします。私は50代で東北大大学院に入りましたが、キリスト教史の授業で、ヘレニズム、ヘブライズムという言葉が出てきたんです。大学を受験する18歳の時に世界史で習って以来の言葉でした。刺激を受けて、それらの本をずいぶん読みました。実生活には何の役にも立っていないのですが、自分の日常生活と無縁のものに触れた時、体の中を別の物が流れた気がしました。
日常生活におけるノウハウ本ではなく、日常とは遠くかけ離れた本を読んでいただくことも、女性力を養う方法ではと思います。同時に外見磨きも怠りなくと。二つは私自身に言い聞かせているモットーです。

 1948年生まれ。武蔵野美術大学卒業。13年半のOL生活を経て88年に脚本家デビュー。2000年から横綱審議委員(10年まで)。主なドラマにNHK大河「毛利元就」、朝の連続テレビ小説「ひらり」「私の青空」など。主な著書に『カネを積まれても使いたくない日本語』(朝日新聞出版)など。

 

トークセッション 「デジタル時代の活字離れ」

山本教授 トークセッションは「デジタル時代の活字離れ」がテーマです。本日参加した共立2-2.jpg学生は生まれた時からデジタル環境で育った世代ですが、内館さんはネットもメールもなさらないそうですね。
内館 やらない方が気持ちが楽なんです。私自身は全然不便を感じません。原稿は、大河ドラマも200字詰めで1万枚全部、原稿用紙に6Bの鉛筆です。書くのではなく、キーを打って変換というのではセリフが変わってくる気がするんです。
山本 学生の皆さんは電子書籍を読みますか。
稲葉(文芸学部4年) 私は読んだことがありません。紙に印刷された本が好きなのです。例えば、辞書みたいに分厚い本を買った時、右側にずっとページをめくっていくうちに、読んだ分のページがたまっていくのがすごく楽しいと感じます。これは、電子書籍にはない身体感覚です。
内館 電子書籍を読んでいた友人が途中でやめたんですね。それで聞きましたら、何か書類を読んでいるようだったって。紙とはずいぶん違うんだろうなという気がします。あるテレビ局の話ですが、会議で新入社員に新聞を読んでいるか聞いたところ、ほぼ全員が電子版だった。とにかく知りたいニュースが手っ取り早くわかればいいとなってきている。活字離れはもう日常的だなと思いました。
佐藤教授 電子版は必共立5-2.jpg要な情報以外の情報は目に入ってこない。紙の場合、必要な情報以外の情報も自然と目に入ってくる。知識のストックとして非常に大事なところがあります。
内館 電子版とかネットでニュースを読むというのは、そこに直進するわけですよね。だけれども、実際の書店では、自分の欲しい本に行き着くまでにほかにも目が行ったり、思わずそそられて買ったりもする。この道草が、私は男も女も人間力を上げる一つの方法ではないかという気がするのですが。
山本 お薦めの本について補足説明をお願いします。
内館 私は5冊挙げたのですが、2冊お話ししますと、ぜひ読んでいただきたいなと思うのが、俳句の『歳時記』ですね。昔の日本人はこんなにも、四季折々の風物や行事に愛情を注いで生きてきたんだなと知ると、心が優しくなります。『相撲記』は、相撲に流れている精神文化、美意識は、現代の私たちの生き方にも残っていると思います。
佐藤 『ジョン万次郎 海を渡ったサムライ魂』は、アメリカ人の作家が書き、しかも、アメリカの小中学生が読んでいる。差別の問題なども描かれていて、異文化理解の教材としても使えるだろうと考えました。
山本 女性作家の作品を取り上げました。紫式部にとっても林芙美子にとっても、文学を読むことと書くこととの両方が、それなくしては生きることができないほどの支えであったと思います。読者はそこにひかれるのではないでしょうか。文芸批評家の田中弥生は、女性作家と文学とのそのような関係を鋭く指摘しています。若い学生の皆さんにとって本や活字はどんな存在ですか。
渡辺(家政学部4年) どんな世代の人も活字の魅力共立1-2.jpgを知っている人は必ずいると思います。人間は自らの手を使って、形あるものに接することで文明を築いてきた存在です。どんなにデジタル化が進んでもアナログなものを捨てることはない、活字文化も廃れることはないと思います。
鈴木(国際学部4年) 情報を調べるにはデジタルの方が効率的ですが、手軽さゆえに情報が記憶として残りにくい面もあります。紙の本の重さ、それを苦労して運ぶ感覚も知識を得るために必要な過程かもしれません。本を開いて勉強しよう、活用しようという気持ちが高まります。
内館 「形あるものに接して生きてきた」ということが心のどこかにあれば、たとえいくらデジタル化が進んでも、また揺り戻しが来て人間はうまくバランスを取って行くのではないかという気がしますね。
佐藤 学生の話を聞いて、まだ活字にきちんとした価値を見いだしているので、ちょっと安心しました。
山本 このセミナーが、活字によってこれまで私たちは何を得てきたのか、また、活字を通じて次世代に何を伝えられるのだろうか、というようなことを考えていただけるきっかけになれば幸いです。

山本聡美さん(共立女子大学文芸学部教授) 1970年生まれ。早稲田大学大学院文学研究科博士後期課程満期退学。博士(文学)。2010年から同大学で日本美術史を担当。
佐藤雄一さん(共立女子大学国際学部教授) 1965年生まれ。千葉大学大学院文学研究科修了。専門は現代日本語文法。95年から同大学で日本語教師養成課程科目等を担当。

 

主催:共立女子大学、活字文化推進会議 主管:読売新聞社 後援:文部科学省 

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