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イベント情報

2012/11/26

共立女子大学 活字文化特別セミナー/勝間和代さん

「活字文化特別セミナー」(共立女子大学、活字文化推進会議主催)が10月28日、東京都千代田区の共立女子学園共立講堂で開かれた。「第22回神保町ブックフェスティバル」の協賛イベントとして開催されたもので、「女性力と活字」をテーマに経済評論家の勝間和代さんが講演を行った。引き続き、共立女子大学の林田廣伸教授と北村弥生教授、同学の学生を交えてトークセッションを行い、就職活動やビジネス界での活字の大切さなどについて語り合った。壇上で、堂々と自分たちの意見を述べた学生に対して、会場を埋めた約600人から拍手が巻き起こった。

主催者挨拶
共立女子学園学園長・理事長 石橋義夫さん

共立・石橋理事長.jpg 共立女子学園は、1886年(明治19年)に女性の自立を目指し、34人の創立者により、誠実・勤勉・友愛を建学の精神として設立されました。
教育発祥のこの地で地域社会との連携を大切にしてきましたが、これからも社会で活躍できる女性の育成に貢献していく所存です。今日は、神保町ブックフェスティバルの一環として活字文化特別セミナーを開催し、歴史ある共立講堂に多方面でご活躍中の勝間和代さんをお迎えし、お話を伺えることを大変うれしく思っております。

基調講演

「女性力と活字」

共立・勝間.jpg 男女平等の度合いを示すジェンダーギャップ指数が発表されました。今年の日本の順位が135か国中101位と低水準に終わったのは、企業や官庁での女性幹部、国会議員の人数が少ないことが要因にあります。日本の上場企業の女性役員比率は1%程度という数字がありますが、EUではそれを40%まで引き上げることを義務付ける法案が検討されています。女性管理職が3割以上を占めると、その会社の業績が急上昇することが前提にあるからです。

 なぜ日本では女性の活躍が進まないのか。平たく言えば、女性の教育年数が少ないことが原因と考えられます。女性は出産や体力面などハンディキャップがありますが、それを補うのが勉強なのです。男女共同参画が進んだ国の女性は、資格を取ろうとか、手に職をつけようとか、明確な目的を持って、積極的に大学や大学院に行き、教育年数は男性より高くなっています。私は社会人を経て、大学院に行きました。そこでは、活字を通して、他の人の知見や情報をたくさん吸収できました。

 文字を持たない民族は、家族や民族内など狭い地域でしか知識や経験の蓄積が進みません。反対に文字をどんどん使い、情報を広く共有した国は発展します。活字のない文化は衰え、ある文化は栄える。活字は、人と人とを結びつけることができるのです。ですから、女性には、もっと貪欲に活字に親しみ、情報を手に入れていただきたいのです。

 では、具体的にどうしたらよいのか。まずは、有料のものに触れてください。本や新聞は、編集者や記者らが手間暇をかけてきちんと整理してくれているので、文字数の割には情報が詰まっています。いい情報を手に入れるためにはそれなりの対価が必要なのです。そして多読もしましょう。一字一句もらさずに追っていく必要はなく、ぱっと一度に眺めるように読んでいけば速読を習得できます。途中で理解できない箇所が出てきても、前後が分ればそれでよいと割り切って読み進めてください。1か月で100冊読めるようになります。

 そうやって、女性が活字を味方につけて活躍すれば、男性をハッピーに導くことにもつながるのです。日本の中高年男性は長時間労働の弊害で、うつ病や自殺が多く、幸福度は低い。女性が活躍の場を広げれば、その分、男性の負担を軽減させることができます。男女が助け合っていけば、日本は好循環に向かい、国際競争力も回復していくに違いありません。

◇勝間和代さん(経済評論家)
1968年生まれ。早稲田大学大学院ファイナンス研究科修了。慶応大学商学部在学中に監査法人に勤務し、JPモルガンなどを経て独立。自己啓発で多数のベストセラーを発刊しており、2005年にウォール・ストリート・ジャーナルの「世界の最も注目すべき女性50人」にも選ばれた。

トークセッション

「伝える力」「聞く力」「読み解く力」

共立・北村教授.jpg【北村教授】 共立女子大学は女性の自立を掲げて、文化の薫り漂う、ここ神保町に設立されました。そこで、今回は本学の設立趣旨にとってふさわしいテーマを設定しました。このテーマの女性力を、伝える力、聞く力、読み解く力に分けて考えてまいりましょう。まず、伝える力から伺います。

【勝間】 昨今の日本企業では、伝える力が不可欠となっています。仕事が高度化して、周囲を巻き込んだり、説得しなければならない非定型な業務が増えているからです。

【北村】 就活や転職の際にも伝える力は必要ですね。

【勝間】 ある転職エージェントによると、他の能力があっても、この力がなければ職場でうまくいかないそうです。

共立・林田教授.jpg【林田教授】 海外の先進国では自分を理解してくれないことが大前提となっているので、伝える行為に大変な努力を払います。日本人は、お互いを察しあう風土にいるため、言葉で伝えることが得意ではありません。しかし、この力を鍛えなければ、国際化が進みません。

【勝間】 うまく伝えるためには、相手の考えていることを瞬時に理解して、自分の言葉で表現しなくてはなりません。月並みですが、活字を読むことで養うしかありません。

【林田】 私の専門グラフィックデザインも、一般の方は視聴覚的なものととらえていますが、実は7割が文字を扱う仕事なのです。文字活字が持つ伝える力は大きい。

【北村】 聞く力については、講義を聴講する立場の学生に発言してもらいましょう。

【金子(文芸学部3年)】 現代の社会は、世代間はおろか、同世代でもコミュニティーは過剰に分断され、それらをつなぐ言葉がないと言われて久しい状況にあります。私はこのような、常に更新されていく社会の構造や人々の価値観を、哲学批評から学んでいます。話者が前提としている価値基準を推測し、それが聞く力につながるでしょう。

【加藤(国際学部4年)】 私は、就活でいろいろな業種を回りましたが、初めの頃の説明会では、企業の方が言っていることがほとんど分りませんでした。ところが、事前に新聞や四季報で情報を仕入れていくようにしたら、内容や用語が難しくても、だいぶ理解できるようになりました。

共立・学生3人.jpg尾堂萌実さん(家政学部4年)、加藤綾香さん(国際学部4年)、金子千夏さん(文芸学部3年) ※写真右から

【北村】 異世代への理解や事前の準備によって、聞く力と同時に読み解く力もつきますよね。お薦めの『物語の作り方』は、ガルシア=マルケスが若い脚本家や映画監督らと共同でTVのドラマの脚本を作ろうと議論を交わした記録です。相手が言うことを読み解きながらストーリーを作っていく過程がありありと分る本です。

【勝間】 私の推薦本は5冊とも翻訳書です。翻訳書を敬遠する人もいますが、読みづらい部分は読み飛ばしてトータルで内容を理解するように努めれば、最新の知見がたくさん得られるはずです。

【林田】 『プルーストとイカ』には、読み聞かせを十分に行った子どもは読解スキルが上達するだけでなく、他人を理解する力や豊かな自己表現、推論力をも培っていくと書かれています。また今日、世界にある約3000の言語のうち、文字を持っている言語はわずか78というショッキングな事実も紹介されています。

【北村】 最後に、学生から勝間さんに質問はありますか。

【尾堂(家政学部4年)】 私は4年間、グラフィックデザインを学び、デザインとは自分の頭の中にある情報や知識を、レイアウトや文字の配置、色、キャッチコピーなどによって伝えていく総合芸術ではないかと考えるようになりました。しかし、私は就活の自己PRのように文章だけで相手に伝えることが苦手。何か克服法があるのでしょうか。

【勝間】 グラフィックデザインの設計と文章を書くことは共通点が多いと思います。例えば、デザインでは余計なものを極力はずしていく作業が大切であるように、文章も余計な言葉や句読点を省き、リズム感をつけることが重要です。自己PRも含めた、人に何か伝える文章を作るのには、今、習っているテクニックをそのまま生かすことができます。

【北村】 伝える力、聞く力、読み解く力は三位一体。女性がそれに磨きをかければ、まさに鬼に金棒と言えますね。

2012共立おすすめほん.jpg

◇北村弥生さん(共立女子大学 文芸学部教授)
1962年生まれ。明治大学大学院法学研究科修士課程修了。デジタル出版業界を経て、2009年から共立女子大学でデジタルメディアに関する演習科目などを担当。
◇林田廣伸さん(共立女子大学 家政学部教授)
1952年生まれ。1976年多摩美術大学大学院美術研究科修了。外資広告代理店のアートディレクターとして21年間勤務。毎日広告デザイン賞特選(最高賞)、ACC賞等を受賞。

 

主催:共立女子大学、活字文化推進会議 主管:読売新聞社 後援:文部科学省 

 

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