21世紀活字文化プロジェクト

トップ >  成毛眞の新読書スタイル > おすすめの本(18)『嫌われる勇気』

成毛眞の新読書スタイル

2014/01/06

おすすめの本(18)『嫌われる勇気』

岸見一郎、古賀史健/著、ダイヤモンド社、1575円(税込)

嫌われる勇気.jpgアルフレッド・アドラーという人物を知っているだろうか?フロイト、ユングと並び「心理学の三大巨頭」と称されている人物である。個人心理学(アドラー心理学)を創始した人だ。自己啓発書の名著であるデール・カーネギーの『人を動かす』、スティーブン・コヴィーの『7つの習慣』といった本にもアドラーの思想が色濃く反映されている。

そんなアドラーの思想を若者と賢人の対話という物語の形で紹介した本が『嫌われる勇気』である。これがものすごく刺激的でおもしろい。この考え方を受け入れると、見えてくる世界が変わるかもしれない。アドラーの思想には「人間の悩みは、すべて対人関係の悩みである」という考え方が根底にある。人と比べるから劣等感を感じ、他者がいるから孤独を感じるというのだ。

アドラーの思想は日本人には受け入れがたいかもしれない。「自由とは、他者から嫌われることである」といわれても、それをすんなりと受け入れられる人はほとんどいないだろう。アドラー心理学では「他者から承認を求めることを否定する」。さらに「他者の期待など、満たす必要はない!」とまで言っている。

なぜなら、われわれは他者の期待に答えるために、生きているわけではないからだ。他者の期待に応えるだけの人生では、他者の人生を生きることになってしまう。自分の人生を生きるためには、他者の期待などに答える必要はないというのだ。逆に他者に対しても、期待をしてはいけない。“他者の課題には介入せず、自分の課題には誰ひとりとして介入させない。”そのように考えれば、対人関係における問題の多くは解消するはずだ。

アドラー心理学は勇気の心理学とも呼ばれている。嫌われることを怖れない勇気。それを手にするためには、しっかりと自分と向き合う必要がある。アドラー心理学を理解するには自分の生きてきた年数の半分が必要だという。それくらい本質を理解するには時間がかかるそうだ。しかし、そのエッセンスを知るだけでも見えてくる世界は大きく変わるはずだ。

“私が変われば、世界が変わる。わたし以外の誰も世界を変えてくれない……。”

丸善丸の内本店                                                         田中大輔
 

ページのトップへ

成毛眞の新読書スタイル