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成毛眞の新読書スタイル

2014/02/06

おすすめの本(26)『トリュフォーの手紙』

山田宏一/著、平凡社、2520円(税込)

トリュフォーの手紙.jpg「トリュフォーの手紙」が2012年7月に刊行された。トリュフォーファン、山田宏一ファンにとっては、待ちに待った一冊(手元にある平凡社のPR誌「月刊百科」にはトリュフォーの手紙上・下1992年夏頃刊行予定とある)である!

両親からの愛情を受けることなく、絶望的な孤独から人生をスタートしなければならなかったフランソワ・トリュフォーは、<映画>を発見し、人生のすべてを映画に捧げることによって、生きていくことを肯定し、あの奇跡のような処女長編作『大人は判ってくれない』を世に問い、盟友コダールとともにヌーヴェル・ヴァーグの旗手として、新たな映画的人生をスタートさせることとなる。そのトリュフォー本人から、<翻訳者・友人・分身そして兄弟>として篤い友情と信頼を受けた山田宏一氏もまた必然的に同志として映画的人生を歩まれることになり、それは、トリュフォーの<映画批評集・日記>の翻訳、彼へのインタヴュー、「友よ映画よ わがヌーヴェル・ヴァーグ誌」「シネ・ブラボー3 わがトリュフォー」「トリュフォー ある映画的人生」の作品として結実していく。そして本書はある意味、トリュフォー、山田宏一の共同監督によるドキュメンタリー作品であり、フィルムの名編集者山田宏一による劇映画作品でもある。そしてこれらの一連の作品群は、山田宏一によるアントワーヌ・ドワネルシリーズと言ってもいいのではないでしょうか。

トリュフォーの映画を観て、山田宏一の作品を読むというめまいのような映画的興奮。映画ファンはもちろんのこと、ひとりでも多くの方に手に取って頂きたい作品です。

いつの日か、「トリュフォーの手紙」完訳版が刊行されることを祈りつつ。

田村書店園田店                                                         西田勝彦

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