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成毛眞の新読書スタイル

2014/03/20

おすすめの本(37)『仙台ぐらし』

伊坂幸太郎/著、荒蝦夷(あらえみし)、1300円(税別)

仙台ぐらし.jpg在仙台の作家・伊坂幸太郎氏が、仙台の出版社から発行されている雑誌に連載していたエッセイ集・『仙台ぐらし』。仙台、仙台と言っているが、それほど仙台について語られているわけではないところが面白い点。つづられていることは、基本的に、伊坂氏の心配ごとについてである。

伊坂氏はとにかく心配性だ。映画館ではトイレの心配をし、お化け屋敷に本物お化けが混じっているのではないかと心配し、隣の家で、もし殺人が起きたら自分が疑われるのではないかと心配し、日本経済が破綻するのではないかと心配し、某国の核ミサイルについて心配している。

かと思えば、自意識過剰ぶりも披露してくれる。道で話しかけてくる人に対しては、「この人は自分の著作のファンであろう」と決めてかかって対応し、まったく違って独り赤面する。自作が映画化され、そのロケが仙台市内で行われるとなれば、「自分の著作が原作の映画の撮影で、通行が妨げられている。みんなが自分を迷惑そうに見ている」という、被害妄想を炸裂させてみたりする。

読めば読むほどに伊坂氏は、実に庶民的な、愛すべき素敵な人だな、と思え、また仙台の人や街を観察するその目から、土地に対する愛着もじんわりと感じられる。そんな一冊です。
 

紀伊國屋書店 新宿本店                                                    梅田武典 

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