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成毛眞の新読書スタイル

2014/04/22

おすすめの本(44)『オセロ●○』

竹内雄紀/著、角川春樹事務所(ハルキ文庫)、580円(税別)

オセロ.jpgある朝、岸田信秀47歳は、14歳当時の自室で目覚めます。頭の中身だけ33年前にタイムスリップしてしまったのです・・・というのが本作の幕開け。既視感を覚える「魂の入れ替わり」「過去へのタイムスリップ」ですが、面白いのはここからで、次には14歳の岸田信秀が47歳の肉体で33年後の世界で目覚めます。そこには奥さんと息子がいて・・・という展開。つまり33年間の時を超えて、精神が交換されてしまったわけです。このいかにもドタバタコメディになりそうなアイデアを、著者は笑えて泣ける、上質の青春小説に仕上げました。

「パンク」こと岸田少年には親友の「ドラ」、そして気になる下級生「翔子」がいました。33年後の今、自分が結婚しているこの奥さんは果たして「翔子」なのか?それにしても、あの快活だった親友「ドラ」は今、世間を騒がす存在になってしまっているという。岸田少年は33年の間に何が起きたのかと戸惑うのですが、33年前に戻った中年・岸田は当然、その経緯を知っているわけです。想像していたものとは違ってしまったこの世界。ふたりの岸田は過去を塗り替えて、輝かしい未来を作り出すことができるのでしょうか。

本作でまだ2作目でありながら、このプロットの巧みさを見るに、今後の作品にも要注目の作家さんだと思います。

三洋堂書店 開店改装マネジャー                                               平田知樹

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