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成毛眞の新読書スタイル

2014/04/23

おすすめの本(45)『消えてなくなっても』

揶月美智子/著、KADOKAWA、952円(税別)

消えてなくなっても.jpgさまざまなジャンルの小説を発表している椰月さんですが、本作は椰月さん初のファンタジーミステリー。

舞台は日本神話に登場する神様が降臨した場所ともいわれている渓谷の町。

幼少期に両親をなくし、血のつながりを知らずに育った主人公あおのは、ストレス性の病気を抱え、常に強い不安感に襲われていながらも、町が運営しているタウン誌の編集部で働いている。

ある日町のバーバーで聞いた、河童山にあるというどんな病気でも治し、陰で『拝み屋』と呼ばれているキシダ治療院に取材で訪れる。そこにはあおのと同じ年代のつきのという女の子が住み込みで働いており、あおのも仕事を休職し、治療院のお世話になることに。

山での生活で自然に触れ、治療院での不思議な治療に目をみはり、日々をしずかに暮らしていくあおのは、少しづつ自分を取り戻し、ゆっくりと新たなる一歩を踏み出していく。。。そして一気にラストへと向かっていきます。読み終わった後に、もう一度表紙をみてください。なにかに気づくはずです。

不思議な出来事が、まったく違和感なくすっと心に沁みていき、あおのと一緒に静かな日々を寄り添い、自分の心が透き通っていくのを感じられる作品です。

椰月さんはこう書いています。『この世に存在するすべてを肯定できたら、人はもっと豊かに、もっと謙虚になれると思うのです』椰月さんの優しい、そしてとても美しいこの作品を、ぜひ年代性別をを問わずみなさんに読んでほしいです。

八重洲ブックセンター本店                                                   平井真実

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