21世紀活字文化プロジェクト

トップ >  成毛眞の新読書スタイル > おすすめの本(5)『君に友だちはいらない』

成毛眞の新読書スタイル

2013/11/18

おすすめの本(5)『君に友だちはいらない』

瀧本哲史/著、講談社、1785円(税込)

君に友だちはいらない.png圧倒的な成果がひとりの天才によってなされたと考えるのは後世の人が作った幻想で、実際にはチームの力であった、という本書を貫くメッセージが、まず表紙で読者に伝えられる。不朽の名作「七人の侍」のスチール写真が表紙を飾る本書は、シンプルな表紙が大多数を占める書店店頭で異彩を放っている。

「ノマド」や「フリーランス」という働き方を書いた本が人気を博しているが、会社組織の煩わしい人間関係から解き放たれ、好きな場所で好きな時間に自分のペースで仕事ができるという側面にだけ安易に惹かれてしまうことに、本書は警鐘を鳴らしている。その働き方は一部の強者にのみ許された働き方であり、もし自分が「ふつうの人」であると自覚するのであれば、弱者こそチームの力を利用せよ、と。

やりたい仕事、属したい組織がなければ自らつくるしかないが、かといって独立起業しなければならないのではなく、著者・瀧本氏は「今いる場所で、秘密結社をつくれ」と提案する。ここで言う秘密結社とは、さまざまな出身のメンバーが、ひとつの目的の達成を目指して、自発的に集まった集団のことを指す。

才能と情熱があれば、ひとりでも成功できることが可能だと錯覚させるようなテクノロジーの発達の中で、身近にいる苦楽をともにした仲間と目的に向かって汗を流せと叫ぶ本書は、「友情・努力・勝利」を三大テーマに掲げた某雑誌の連載作品の様に、読んでいて熱い思いが湧き上がる一冊であった。

よきチームの定義、どんな仲間を求めればいいか、など本書から学んだ事を具体的な行動に結びつけるためのヒントに加え、実際にチームで成功を収めた人々のエピソードも多く盛り込まれ、最後まで飽きさせない。

人が一人で出来る事には限りがある。しかし仲間さえいれば可能性は無限大になる。読んだ後に、明日が少し明るく見えるような、そんな希望に満ちた本だ。読んだ後は「七人の侍」が見たくて堪らなくなること請け合いである。

大垣書店烏丸三条店                                                      吉川敦子

ページのトップへ

成毛眞の新読書スタイル