文禄堂あゆみ BOOKS高円寺店 店長 佐々木 修一さん推薦!
「成功している人は、なぜ神社に行くのか?」(八木龍平 著)
サンマーク出版

 社会現象にもなった「ポケモンGO」より前に出ていた「イングレス」というオンラインゲームをご存知でしょうか? 実は私、年甲斐もなく「イングレス」に夢中になっていた時期がある。

 このゲームは「位置ゲー」と言われるスマートフォンのGPS機能を使ったゲーム。普通はゲームと言うと「インドア」な感じがどうしてもするが、この「イングレス」は真逆と言いえるが、とにかくポータルと呼ばれる建造物やモニュメントのある場所に行かないとゲームが始まらないのだ。その場に行ってポータルを奪って、次に近くのポータルを奪ってラインをつないで、最終的には三角形を作る…と、こう書くと何が面白いのか分からないと思うが、これが底なしに面白い。

 なぜ一見無関係な「位置ゲー」の話ビブリオバトルから書いたかと言いうと、実はこの本の中で書かれている神社とお参りする人間の関係が、非常に「イングレス」と似ているからと感じた。

 著者の八木龍平氏は「神社ってインターネットなのです」と書いている。人間が神社間を行き来することでネットワークが維持強化されますと続くが、この部分に私は以前夢中でやっていた「イングレス」のことがドンピシャで当てはまった。そして現在、私は「イングレス」時代に散々まわった神社仏閣に、再び行きまくっている。少し遅咲きの「御朱印オジサン」としても。

 何の気なしに読み始めた1冊の本のお蔭で、神社のこと、古事記のこと、仏教のことなどなど。どんどんと読書のネットワークも広がっていくものだと感じている。

 書店員になってすっかり「すれっからし」になってしまい、並べただけで読んだような気になっていましたが深く反省している。この時期にこの本に出会ったことで、「書店人」として原点に戻れたような気がする。

 タイトルにある「成功」とはまた違いうが、少なくとも私はこの本に出会って救われた。それにしてもグーグルという企業は「イングレス」といい「マインドフルネス活用」といい、なかなか凄い会社だ。


 

 

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