あゆみ BOOKS田町店 中澤 仁さん推薦!
「日本一のクレーマー地帯で働く日本一の支配人」
(三輪康子 著) ダイヤモンド社

  この本の発行が2011年7月というのだから初めて読んだのは6年前になる。一読して衝撃だった。イッキ読みしながら、いったい何枚の鱗が目からこぼれ落ちたことだろうか。日頃の接客の仕事につまずくたびにも読み返してみる。けっして古びれない。志は高い。自分には出来ないながらも、唸ってしまう。ああ「この本は、数あるクレーマー本の中の最高傑作なんだ!」

  だいたい『日本一のクレーマー地帯』って何処だ?新宿歌舞伎町である。テレビよりもドラマチックと謳っているだけあって想像を絶するクレーマー達が登場する。もちろんヤクザな方々もいらっしゃる。冗談抜きの命懸けのエピソードもある。そんな歌舞伎町のホテルで売上げ日本一を達成し『歌舞伎町のジャンヌダルク』と恐れられた、いや愛された女性がいる。著者の三輪康子さんである。本書では彼女が接したモンスタークレーマーとの体験が、実にリアルに語られている。真摯に対応し続けて来られたことが手に取るように分かる。そこで培われた信念。「怒鳴られたら、やさしさを一つでも多く返すんです!」と云われる。イエス・キリスト並みのハードルだ。自分は当然、打ちのめされる。でも決して読む手は、止まらない。なぜなら彼女の目線がとてもユーモアに満ちているからだ。ポジティブ過ぎてあっけにとられてしまうほどだ。

  そして最後に三輪さんは言い放つ「私がやっている仕事の究極の目的は、医者と変わらず、『人の気持ちを救うこと』であるような気がするのです。」

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