紀伊國屋書店新潟店 山崎容子さん推薦!
「動物農場」(ジョージ・オーウェル著 山形浩生訳) 早川書房

   かつて読んだ名作の新訳版が出版されると、懐かしさも相まってついつい再読してしまう。『一九八四年』で有名なジョージ・オーウェルの一つの代表作であるこの『動物農場』もそんな作品の一つ。

 悪政者の人間農場主ジョーンズを追い出した動物たちは、すべての動物たちは平等であるという理念を掲げ「動物農場」を設立する。守るべき戒律を定め、民意を重んじる共和制を取り、知力に優れたブタが大統領に選ばれる。が、指導者であるはずのブタは、徐々に特権を拡大させていき、圧制者となっていく。

 その過程は、かつてと同時に、現在の政治状況と重ね合わせて、痛烈な風刺を含んでいて、改めて、この作品の普遍性を実感する。モデルとなったのは、確かにソ連革命とその後の政治状況かもしれない、でもこの状況は、たった今、現在進行形で起きていることかもしれない。

この作品は、かつてのあらゆる独裁政権とそれを許してしまった体制への批判であり、現在への警鐘である。今だからこそ読み返してほしい作品。

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