あゆみBOOKS平和台店 熊谷孝行さん推薦
「1984年のUWF」(柳澤健 著)文藝春秋社

 「UWF」とは80年代、日本のスポーツ界に一大ムーブメントを起こしたプロレス団体の名称である。様々な雑誌が特集を組み、書籍が刊行され、地上波のテレビ局が特番を組み、試合はアイドルグループの全国ツアーのように野球場やアリーナで開催された。

 団体自体は1990年に分裂・解散してしまうが、その活動は後のK―1、グレイシー柔術を含む世界的な総合格闘技ブームを準備し、格闘技という競技の景色を変えてしまったと言うことが出来る。今でも、当時の関係者の新しいインタビューがメディアで紹介されるほど、その影響力は大きい。

 本書は、短期間ながら――だらかこそともいえる――周囲を熱病のように高揚させ、その熱狂のなかで自壊していく集団のありようを、ときに冷徹にときに愛情深く、描写していく。

 読み進めるほどに切ない思いに囚われ、心に苦いものを感じるのだが、読むことを止められない傑作である。

私のオススメ本の一覧へ戻る ビブリオバトルとは

ご登場いただいた著名人