紀伊國屋書店 流山おおたかの森店 後藤店長推薦!
「しぐさの日本文化」(多田道太郎 著)講談社

  「私の中の情緒的な日本を書き留めておこうと思った」とは、カズオ・イシグロ氏の発言ですが、その情緒=日本人の心性は、日本の社会の中では互いの了解事項として、文化を形成してもいます。文化としての言外言語である様々な<しぐさ>は、如何なる日本人の心性の表れであるのか?

   グローバリズムが声高に志向される現在にあって、しかし乍ら本当に世界を完全に覆うエチケットというものなどは無いと思うのですが、そうした物のあることを錯覚し、本来依って立つべき自らの文化についての自覚の薄いままに、立ち尽くしてしまう事はないでしょうか?

 各々が自らの文化を背景として立つところに他文化への真の理解も成り立つのであり、そうした人びとの集う所がグローバリズムの舞台でもありましょう。日本人に特徴的な、無意識下の心性について、本書が掬い取る、私たちの日常のしぐさの意味するところへの指摘から、改めて気付かされることは少なくはありません。

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