紀伊国屋書店・瀬部さん グランドチャンプ本獲得~ビブリオバトル頂上決戦

 東京都渋谷区の国立オリンピック記念青少年総合センターで4日に行われた青少年読書体験推進キャンペーン記念イベント「よむ、つたえる、かわる。」(主催:国立青少年教育振興機構、文字・活字文化推進機構、協力:活字文化推進会議、読売新聞社)。第2部では、知的書評合戦「ビブリオバトル頂上決戦」が行われ、書店員や大学、中学大会の優勝者ら6人が出場した。来場者の投票の結果、紀伊国屋書店の瀬部貴行さんが紹介した「虚人たち」(筒井康隆著、中央公論新社)がグランドチャンプ本、ときわ書房の近藤隆さんが取り上げた「見えない都市」(イタロ・カルヴィーノ著、河

出書房新社)が準グランドチャンプ本に選ばれた。

グランドチャンプ本に選ばれた「虚人たち」を紹介する瀬部さん

 

 

 テーマは「U-18(18歳以下)にすすめたい本」。

 瀬部さんが紹介した「虚人たち」は、妻と娘が誘拐された男の話。「筒井康隆さんは高校生、大学生のころにはまった作家。小説で通常行われる時間の省略をしない実験的な小説」と説明した。主人公の4時間半を描き、主人公が意識を失っている間は空白のページが続いたり、自分が小説の登場人物であると認識していたりする。「文字で書かれた読み物でしかできないことを行っている」と話し、「テレビやアニメ、映画、演劇など

準グランドチャンプ本を獲得した近藤さん

それぞれに楽しさがあるが、文字で読む小説でしか体験できない楽しさを味わってほしい」と呼びかけた。

 

 

 近藤さんが取り上げた「見えない都市」は、マルコ・ポーロがフビライ・ハンに、奇妙な架空の都市を語る幻想小説。55の都市が登場するという。「自分の生活や過去の記憶、いつか見たことのある夢などにどこかでつながっているような不思議な都市ばかり」と、作品からいくつかの都市を紹介。「美しいというだけで、次から次にページをめくりたくなる本。そんな本に出会ったことはありますか」と語りかけた。

 

 そのほかの出場者と紹介本は次の通り。▽有隣堂町田モディ店・岩本雅彦さん「遠き落日」(渡辺淳一著、講談社)▽大学ビブリオバトル2017首都決戦優勝者・島田雄大(ゆうた)さん(広島大学)「新編 悪魔の辞典」(アンブローズ・ビアス著、岩波書店)▽大学ビブリオバトル2016京都決戦優勝者・窪田真弓さん(千葉大学大学院)「青蛙堂鬼談(せいあどうきだん)」(岡本綺堂著、中央公論新社)▽中学ビブリオバトル関東大会優勝者・林仁さん(昭和鉄道高校)「学校では教えてくれない!国語辞典の遊び方」(サンキュータツオ著、KADOKAWA)

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