本屋に行こう@大阪

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アマゾンなどネット書店の伸長、活字離れに伴い、街の本屋が次々と姿を消しています。「地域の知の拠点」としての役割を果たしてきた街の本屋の未来を考えるシンポジウム「本屋に行こう@大阪」(活字文化推進会議主催、学校法人追手門学院特別協力)が9月2日、大阪市中央区の追手門学院大阪城スクエアで開催されました。

「本屋、出版社、作家 ビミョーな関係」という意味深なタイトルがついたトークセッションには、下積み時代に書店でのアルバイト経験がある芥川賞作家の川上未映子さん、講談社第一事業局次長の加藤晴之さん、会場からほど近い地下鉄谷町六丁目駅近くで街の本屋を営む二村知子さん、さらに大阪のシンボル、吉本新喜劇の座長で読書家の内場勝則さんがパネリストとして参加、東京・下北沢でビールが飲める書店として話題を呼んでいる「B&B」の共同経営者内沼晋太郎さんがコーディネーターを務めました。

まず、楽屋裏で物静かに本を読みふけっていることが多い内場さんは本屋の魅力について「洋服も実際に着てみないと着心地が分からないじゃないですか。本も実際に手にとって中身を確認してからじゃないと買えないです。新刊を開いたときのインクの匂いが好きなんです」と語りました。「作家と読者の集い」と銘打ったイベントを毎月数回開催している二村さんは「東日本大震災で原発事故が起きた際は、原子力関連の書籍を買い求める人が多くなり、改めて本の力の大きさを知りました」と述べました。

議論は出版界が直面している課題のひとつとされる出版点数の多さにも及びます。川上さんが「本は口コミで評判が伝わっていってじわじわと売れていくものじゃないでしょうか。今は出版点数が増えすぎてしまって、本が書店に置かれる寿命が非常に短くなってしまっているのでは」と口火を切りました。本屋大賞を獲得した「海賊と呼ばれた男」(百田直樹著)などの編集者である加藤さんは「かつては1か月間、書店に置かれた本が今は1週間で返品されていきます。著者にも迷惑をかけていることになります。幕末の黒船来航が日本を変えたように、アマゾンの隆盛は日本の出版界のあり方について考えてみるきっかけになるのかもしれない」と提起しました。

内沼さん以外の4人は全員大阪出身。ライトアップされた大阪城を望む最高のシチュエーションの中、関西弁が飛び交いながら、予定時間を過ぎても熱っぽい議論の応酬が続きました。

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