作家らが語る読書の魅力 フォーラムに200人参加

「読書で磨かれる力」について語り合う(左から)日本テレビアナウンサーで司会の桝太一さん、作家の角田光代さん、脳科学者で東北大教授の川島隆太さん、お笑いコンビ「笑い飯」の哲夫さん=2020年8月16日

 人気作家らが読書の魅力を語るフォーラム「読書が与えてくれるもの」が2020年8月、よみうり大手町ホールで開かれた。新型コロナウイルス感染防止のため定員を制限して開催したが、猛暑日にもかかわらず約200人が集まった。

人気作家らが読書の魅力を語るフォーラム「読書が与えてくれるもの」の第1部で、「読書のすすめ」をテーマに講演する活字文化推進会議推進委員長の作家、浅田次郎さん

 フォーラムは2部構成で、前半の第1部は、同会議推進委員長を務める作家の浅田次郎さんが、「読書のすすめ」のテーマで講演した。少年時代に中央公論社が発行した日本の文学の全集を小遣いで月1冊ずつ購入した思い出を語り、「読書は最高の娯楽」と持論を展開した。読売新聞創刊145周年に絡め、高い識字率が「明治維新の奇跡の原動力だった」とも述べた。

 後半の第2部はシンポジウム形式。日本テレビアナウンサーの桝太一さんの司会で、読売新聞朝刊に「タラント」を連載中の角田光代さん、脳科学者の東北大教授川島隆太さん、お笑いコンビ「笑い飯」の哲夫さんが「読書で磨かれる力」について語った。

 フォーラムは、国立青少年教育振興機構主催、文字・活字文化推進機構が主管し、活字文化推進会議、読売新聞社が協力した。後援した日本新聞協会の山口寿一会長(読売新聞グループ本社社長)もあいさつに立ち、「デジタルの時代だからこそ、活字とのバランスを」と語りかけた。

日本新聞協会・山口寿一会長あいさつ要旨

人気作家らが読書の魅力を語るフォーラム「読書が与えてくれるもの」であいさつする日本新聞協会の山口会長

 「小中高校生が読む本のベスト20は、かつて『坊っちゃん』『二十四の瞳』『車輪の下』『走れメロス』『次郎物語』が並んでいましたが、『ハリー・ポッター』『君の名は。』といったベストセラーが上位を占めるようになりました。

 古典・名作が忘れられていくことにさびしさを感じていたところに、デジタル教育の波が来ました。小中学校に1人1台パソコンやタブレットを配り、国を挙げて取り組むので、良い変化もあれば、残念な変化もあるかもしれません。

 情報通信白書では、10代のインターネット利用は2002年、1日平均1時間36分でした。今や平日2時間48分、休日3時間59分です。ちなみに10代の新聞の利用は、02年の1日平均22分が、今は平日0.3分、休日0.1分、つまり6秒です。

 デジタルの時代だからこそ、活字とのバランスを大切にしたい。問題意識を共有していただければと思っております」

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