直木賞作家の今村翔吾さんとボクシング元世界チャンピオン村田諒太さんが初登場…活字文化推進会議、チャットGPT問題など討議

 出版業界の活性化や読書振興策などについて、有識者が知恵を出し合う活字文化推進会議(浅田次郎委員長)の第21回推進委員会が12日、読売新聞東京本社(千代田区大手町)で開かれた。直木賞作家の今村翔吾さん(38)とボクシング元世界王者で金メダリストの村田諒太さん(37)の2人も参加した。

活字文化推進会議で議事を進める浅田次郎委員長(中央)発言した村田諒太氏(左上)今村翔吾氏

 会議では、チャットGPTに代表される生成AI(人工知能)の急激な普及が活字文化に及ぼす影響が話題になった。明治大学教授の斎藤孝委員は「チャットGPTに『羅生門』の続編を書かせて、指示を重ねると、芥川龍之介の文体そのままに書いてくる。これを自身の著作として発表するようなことになると……。フェイクの問題もある」と事例を紹介した。浅田委員長は「この著作権侵害は、まさに緊急課題」などと応じた。

活字文化推進会議の昨年度事業報告を聞く委員ら

 出版文化産業振興財団理事長の近藤敏貴委員は、書店数が増えてきた韓国への視察結果を示し、「国として韓国は書店支援の手を打っている」などと強調した。大正大学特任教授の片山善博委員は、読書振興を進めるうえで学校図書館への司書配置を増やすことの意義を強調した。
 オブザーバーとして初参加した2人は、会議終了前に発言した。時代小説の名手で書店経営者でもある今村さんは「作家の文章には(チャットGPTの文章と違って)ハンドメイドの価値がある。自分は足で稼いで(執筆を)やっていきたい」、現役時代から大の読書家で「戦う哲学者」とも呼ばれた村田さんは「子供のうちに良書と触れるのは、きっと人間形成に役立つ。変な事件の多い世の中を少しずつ変えていく力になるのでは」などと語った。ともに次回から委員となる。

会議後に談笑する(左から)村田諒太、浅田次郎、今村翔吾の各氏

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