「書店員が選ぶ絵本新人賞」第1回大賞、75歳ただのぶこさん「はるさんのユートピア」

 活字に親しむ子どもを増やそうと、読売新聞東京本社と中央公論新社が創設した「書店員が選ぶ絵本新人賞」の第1回大賞に、ただのぶこさん(75)の「はるさんのユートピア」が選ばれた。受賞作は今年11月に中央公論新社から刊行される予定で、75歳の新人絵本作家が誕生することになる。

ただのぶこさん作「はるさんのユートピア」から

11月刊行予定

 

 絵本新人賞は、多くの絵本に接し、読者である子どもたちとの距離が近い書店員の目で、読み手の気持ちに寄り添う「新たな才能」を発掘しようと、昨年11月に創設された。対象となるのは、一般書店に流通する商業出版をした経験がない書き手による未発表作品で、今年1~4月の募集期間に計561作品の応募があった。1次選考で10作品に絞られた後、全国の書店員408人によるオンライン投票で大賞が決まった。

 

 受賞作は、限界集落となった里山ににぎわいを取り戻そうと奮闘するおばあさんの挑戦と、その後、里山に訪れる奇跡を描いた。日本社会が直面する少子高齢化や過疎化といった問題を子どもにもわかりやすく示した上で、優しい読後感を残す作品になっている。

 

 選考に参加した書店員からは「好きです。最近読んだ本の中でも一番かもしれません」「この話から子どもたちが何かを受け取れる気がします。だから読んでもらいたい」と高い評価を得た。

ただのぶこさん

 受賞したただのぶこさんは大分県生まれの75歳。小学校教員を退職した後、絵本制作に取り組んでいる。たださんは「部屋の隅に置いていた作品が、皆様に読んでもらえて、好きになっていただけたということが、信じられない思いです」と話している。

 

 たださんには賞金50万円が贈られる。このほか、おなのりえさんの「ゆき」、ホッシーナッキーさんとにいたさんの2人による「うちゅういちの たかいたかい」の2作品が特別賞に選ばれた。特別賞受賞者には賞金10万円が贈られる。

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