全国高校ビブリオバトル代表、長崎・北海道・石川・岐阜・富山でも決定…11月5、7日

長崎…森繁佑太さん、チャンプ本は「いけない」

お薦めの本を紹介する森繁さん

 高校生が自身のお薦めの本を紹介し、観客が一番読みたいと思った1冊を投票で決める書評合戦「ビブリオバトル」が7日、長崎県佐世保市のアルカスSASEBOで開かれ、青雲高1年の森繁佑太さん(16)が優勝した。

 

 6人が決勝に進出。1人5分間で本を身ぶり手ぶりを交えながらPRし、質疑応答の後、観客による投票が行われた。

 

 優勝した森繁さんは、道尾秀介さんの小説「いけない」(文芸春秋)を選んだ。最後の1ページにどんでん返しが待ち受けているとし、「だまされることには忌避感やネガティブなイメージがあるが、だまされることでしか得られない快感もある」と強調した。

 

 森繁さんは、大会前に書評を聞いてくれた友人や先生の支えに感謝し、決勝大会でも「伝えることを楽しみたい」と笑顔を見せた。

 

 決勝大会(活字文化推進会議主催、読売新聞社主管)は来年1月28日、東京国際大池袋キャンパス(東京都豊島区)で開催される。

北海道…藤倫太郎さん、チャンプ本は「惑いの森」

道大会で優勝した藤さん(5日、札幌市豊平区で)

 高校生がお薦めの本を紹介し、書評を競い合う「全国高等学校ビブリオバトル」の北海道大会(北海学園大人文学部主催、活字文化推進会議共催、読売新聞社など後援)が5日、北海学園大豊平キャンパス(札幌市豊平区)で開かれ、旭川実2年の藤倫太郎さん(16)が優勝した。

 

 この日は道内11校から15人が参加し、予選を勝ち抜いた4人が決勝に挑んだ。1人5分間で本の魅力を紹介し、質疑応答の後、観戦者たちが一番読みたくなった本に投票した。

 

 藤さんは作家・中村文則さんの短編小説集「惑いの森」(文芸春秋)を紹介した。約200ページに50の物語が詰まっており、最短は5行。「時の流れが速いこの時代でも気軽に読めるはず。別の物語に同じ登場人物が出てきているのでは、と感じられ読者を飽きさせない工夫もある」と熱弁した。

 

 優勝で全国への切符を手にした藤さん。紹介した本はタイトルにひかれて小6の頃に手にしたという。来年1月28日に東京国際大池袋キャンパス(東京都豊島区)で開催される決勝大会に向け、「本を読むきっかけは何でもいいことと、読書の面白さを伝えたい」と意気込んだ。

石川…東一斗さん、チャンプ本は「ツナグ」

2連覇を果たした東さん(5日、野々市市で)

 お薦めの本を紹介し、聴衆が一番読みたいと思った本を投票で決める「全国高校ビブリオバトル石川県大会」(県大会実行委員会主催、読売新聞社など後援)が5日、野々市市の学びの杜(もり)ののいちカレードで開かれた。昨年王者の小松市立高3年、東一斗さん(18)が優勝し、2連覇を飾った。

 

 大会には13人が出場し、60人以上の聴衆が集まった。出場者はお薦めの本について5分間語った後、2分間の質疑応答で本の魅力をさらにアピールした。出場者と聴衆からの投票数で勝敗が決まる仕組みだ。

 

 東さんは、生と死がテーマの五つの章からなる連作長編小説「ツナグ」(辻村深月著、新潮社)を紹介した。「生きているときにしたことが、死んだ後も(周囲の人に)影響する。本当の意味での『生死』とは何かを考えさせられる作品」などと強調し、予選と決勝を勝ち抜いた。

 

 東さんは来年1月28日、東京都豊島区の東京国際大学池袋キャンパスで行われる決勝大会(活字文化推進会議主催、読売新聞社主管)に出場する。東さんは「目標は優勝。出場者全員が高いレベルだと想定して努力したい」と話した。

岐阜…大竹美玖さん、チャンプ本は「掟上今日子の鑑札票」

優勝した大竹さん

 高校生がおすすめの本を紹介して書評を競い合う大会「全国高校ビブリオバトル2023」の岐阜県大会(県主催、活字文化推進会議、読売新聞社、県教育委員会後援)が5日、岐阜市宇佐の県図書館で開かれ、加茂高1年の大竹美玖さんが優勝した。大竹さんは来年1月28日に東京都豊島区の東京国際大池袋キャンパスで開かれる全国大会に出場する。

 

 県大会には24人が参加。発表者(バトラー)が1人5分で本の魅力を紹介し、他の参加者と質疑応答を行った。全員の発表後、「どの本が一番読みたくなったか」を基準に投票を行い、順位を決めた。

 

 予選を勝ち上がった4人が争った決勝で、大竹さんは「掟上今日子の鑑札票」(西尾維新著、講談社)を取り上げた。1日で記憶を失う探偵役が謎を解く推理小説シリーズの作品で、「物語が大きく展開する場面で、シリーズでもとりわけ面白い」と訴えた。全国大会では、「県大会での優勝に慢心せず、全力で臨みたい」と意気込みを見せた。

 

 準優勝は「二木先生」(夏木志朋著、ポプラ社)を紹介した多治見北高1年の大崎将さん、3位は「こんなにも優しい、世界の終わりかた」(市川拓司著、小学館)を紹介した同高1年の奥村幸大さんだった。

富山…山本颯真さん、チャンプ本は「眠れなくなるほど面白い ヤバい心理学」

本を手に魅力を語る山本さん(5日、砺波市立砺波図書館で)

 高校生がおすすめの本を紹介する書評合戦「全国高校ビブリオバトル2023」の富山県大会(県高校図書館協議会主催)が5日、砺波市立砺波図書館で開かれ、県立高岡南高1年、山本颯真さん(15)が優勝した。山本さんは来年1月、東京国際大学(東京都)で開催する全国大会に挑む。

 

 県大会には、11校17人の高校生が愛読書を手に参戦。1人5分の持ち時間で、身ぶり手ぶりを交えながら笑顔で本を紹介した。質疑応答の後、聴衆による投票で優勝者を決めた。

 

 優勝した山本さんは、図解「眠れなくなるほど面白い ヤバい心理学」(神岡真司監修、日本文芸社)を紹介。高所では心拍数の上昇などの理由でナンパの成功率が高いという本の内容を引用し、「立山でナンパに挑戦しようとしたが、勇気が出なかった」と話すと、会場は笑いに包まれた。

 

 山本さんは「聴衆を巻き込めたのが良かった。全国大会に向け、時間いっぱいに語れるようにセリフを調整したい」と意気込んだ。

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