小此木陽菜さん・樋口愛菜さん・南條清斗さん・松本陽菜さんに優秀賞…全国高校ビブリオバトル

 東京都豊島区の東京国際大学池袋キャンパスで1月28日に開かれた「第10回全国高等学校ビブリオバトル決勝大会」(活字文化推進会議主催、読売新聞社主管、東京国際大学特別協力)で、伊勢崎興陽高校3年の小此木陽菜(ひな)さん(17)が優秀賞に選ばれた。

 

 ビブリオバトルは、お気に入りの本を5分間で紹介し、聴衆に読みたくなった本の紹介者に投票してもらって得票数を競う。10回目の節目となる今大会は47都道府県の地方大会と読売中高生新聞大会を勝ち抜いた計49人が出場、会場を埋めた聴衆に向け、お薦め本の魅力を熱く訴えた。

優秀賞の4人。左から、小此木さん、樋口さん、南條さん、松本さん

「Q&A」を紹介…小此木さん

 

 2年連続出場の小此木さんは、「Q&A」(恩田陸著、幻冬舎)を取り上げ、初めて予選を突破して8人による決勝に進出。郊外の大型商業施設で重大死傷事故が発生し、真相をめぐって多数の被害者や目撃者への質問と回答の会話だけで進んでいく本の魅力を紹介した。小此木さんは「この1年で一番面白かった本を持ってきた。心臓が口から飛び出しそうなくらい緊張したが、ここまでこられてうれしいです」と語った。

 

「N」を紹介…樋口さん

 

 東京都立桜修館中等教育学校4年の樋口愛菜(あいな)さん(16)も優秀賞に選ばれた。

 

 8人が進んだ決勝で樋口さんが取り上げたのは、道尾秀介さんの小説「N」(集英社)。6章からなる物語で、1章ごとに本文の上下が逆転して印刷されている。樋口さんは「どの章から読んでも自由で、読む順番が結末を左右する。ある人にとってはバッドエンドでも、ある人にはハッピーエンド」と語り、「最後には、みんな誰かのストーリーの大切な一人なんだと気づかせてくれる。あなたのための物語です」と呼びかけた。

 

「言語オタクが友だちに700日間語り続けて引きずり込んだ 言語沼」語る…南條さん

 

 

 兵庫県の六甲学院高校2年、南條清斗(さやと)さん(17)も優秀賞に選ばれた。

 

 南條さんは「言語オタクが友だちに700日間語り続けて引きずり込んだ 言語沼」(堀元見、水野太貴著、あさ出版)を取り上げた。「言語学の本は難しいものが多いが、この本は、言語オタクと素人の対話形式で書かれているので、分かりやすくて面白い。これを読めば、言語への解像度が上がり、相手への理解も深まる」と熱く訴えた。

 

「タガヤセ!日本 『農水省の白石さん』が農業の魅力教えます」を明るく…松本さん

 

 優秀賞には、三重県立松阪高校2年の松本陽菜(ひな)さん(17)が紹介した「タガヤセ!日本 『農水省の白石さん』が農業の魅力教えます」(白石優生著、河出書房新社)も選ばれた。

 

 49人が集まった決勝大会で「ベスト8」による最後のバトルに駒を進めた松本さん。会場を埋めた約500人を前に「私の家はミカン農家。家業を継ぐつもりです」と明るい声を響かせた。「津々浦々の農業の魅力を写真付きで教えてくれる。使える知識がいっぱい」という一冊を、方言も交えて語り尽くした。

 

 質疑応答では、口を開くたび、「いい質問、ありがとうございます!」と元気な声を発して会場を沸かせた。表彰式後は「きょう話を聴いた色んな本を読み込んで、ほかの人の考えをより深く知りたくなった。それを将来、地元のために役立てたい」と声を弾ませていた。

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