ビブリオバトルとは

どこでも手軽に楽しめる書評ゲームです。2007年、京都大学大学院の大学院生だった
谷口忠大さん(現立命館大学理工学部教授)が、輪読会で読む本は自分たちで決めようと考案しました。
「人を通して本を知る、本を通して人を知る」のキャッチフレーズの通り、
思いがけない本に出会うことができると同時に、参加者についても知ることができます。

過去の出場者データ

How to

必要なものは、本、5分の
プレゼン時間と
2,3分の
質疑応答時間を測る時計だけ。
ルールは次の4つ。

#其の1――
発表参加者が読んで面白いと思った本を持ち寄る
#其の2――
順番に一人5分間で本を紹介します
#其の3――
それぞれの発表の後、参加者全員で本に関するディスカッションを2~3分行います
#其の4――
全員の発表終了後、「どの本が一番読みたくなったか?」を基準とした投票を
参加者全員(一人1票)で行い、最も多くの票を集めた本がチャンプ本となります

よくあるご質問

Q1

なぜ発表時間は5分なの?

A1

3分だと、本の粗筋などアウトラインをなぞるだけの発表になってしまいがちです。5分あれば、自分の意見や感想を織り交ぜることが出来ます。初心者は5分間が長く感じるかもしれませんが、回を重ねるごとに慣れてくるはずです。

Q2

なぜチャンプ本を決めるの?

A2

ゲーム性を持たせることによって、発表者は紹介する本の魅力を参加者に伝えるためにはどうすればいいのか、どう分かりやすく説明すればいいのかを考えるようになります。

Q3

原稿用紙を読み上げたり、レジュメを配布したりするのはだめですか?

A3

ビブリオバトルは参加者全員で楽しむゲームです。原稿用紙を用意すると、発表者は下を向きながら棒読みになりがちで、聴いている方もつまらなくなってしまいます。同様にレジュメを配布してしまうと、聴衆はレジュメの方に気を取られ、発表者は聴衆の反応を感じ取りにくくなってしまいます。

Q4

参加者は何人が適当でしょうか?

A4

4~6人がいいでしょう。

Q5

どんなところで行われているの?

A5

小中高校、大学といった教育機関から、公共図書館、大型書店の店頭など、いろんな場所で開催されています。学校では、国語の授業や総合学習の時間のほか、図書委員会の活動の一環としても行われています。近くで行われているビブリオバトルを知りたい場合、ビブリオバトル普及委員会の公式ホームページをご覧ください。

教育現場でのビブリオバトル活用例

出場者がお薦めの一冊を持ち寄り、聴衆がどの本を一番読みたくなったかを多数決で決める
知的書評合戦「ビブリオバトル」が京都大学の研究室で誕生してから、今年で10年がたった。
これまでは各地の図書館などが主催して行われることが多かったが、2016年度以降、
中学や高校の教科書で取り上げられ、教育現場でも注目されるようになった。小中高校で広がる取り組みを紹介する。

発表ドキドキ でも満足小学校

 収穫の終わった茶色い田んぼが目の前に広がる。岐阜県神戸(ごうど)町立下宮小学校は、そんな田園地帯の中にあった。各学年1学級、児童数約160人の小規模校。1年から6年まで、全学年でビブリオバトルに取り組んでいることを評価され、ビブリオバトル普及委員会の「ビブリオバトル・オブ・ザ・イヤー2017」優秀賞に選ばれた。
 2017年11月中旬、予選を勝ち抜いた2年生の児童4人が、体育館に集まった全校児童と保護者ら約30人の前で、お気に入りの本の魅力を語った。紹介する本の拡大コピーを貼り付けたホワイトボードの前に、児童は1人ずつ本を持って登場。
 出番を待つ間は、緊張のあまり、顔をひざに押しつけている子もいた。しかし、いざ発表時間を計るタイマーが動き出すと、どの子も本のあらすじや好きなところなどを、元気に発表した。
 「先生、しゅくだいわすれました」(山本悦子、童心社)を紹介した和田真央美(まおみ)さん(8)は「昨日はタイマーで時間を計りながら、10回以上練習した。練習通り出来た」と満足そうな表情を浮かべた。「のんびりオウムガイとせっかちアンモナイト」(三輪一雄、偕成社)を発表した鷹橋李空(たかはしりく)君(8)は「緊張してちょっとミスしたけど、予選より今回の方が良くできた」と照れながら話した。
 言語活動を充実させるため、同校がビブリオバトルを導入したのは2年前。全学年で年に2回行っている。低学年、中学年、高学年ごとに、国語で学ぶ「話す」「聞く」活動と関連させ、到達目標を設定している。特に重点を置いているのが「対話」で、発表の中に問いかけを入れるよう指導している。
 教務主任の松田紀子教諭(58)は「5分間の発表が難しいと感じる子もいるが、ビブリオバトルに取り組むことで、児童の読書の幅は確実に広がった」と手応えを感じている。

仲間と熱弁 国語力アップ中学校

 東京都国分寺市は、市内の中学5校にビブリオバトルを広めようと力を入れている。市立第一中では2017年度から、3年生の国語の授業に、ビブリオバトルを取り入れた。
 前任校でビブリオバトルに取り組んだ後藤正彦校長(55)が、その効果に着目し、斎藤裕介教諭(28)に導入するよう促した。ビブリオバトルを知らなかった斎藤教諭は、書籍を読んだり、動画投稿サイト「ユーチューブ」を見たりして、研究を重ねたという。
 ビブリオバトルは、計4時間の授業として設計した。1時間目は斎藤教諭と学校司書の春田経子さん(57)が実演を行い、書評合戦の楽しさを紹介。2時間目は、生徒が選んだ本のあらすじや好きなセリフなどをプリントに書き込み、発表項目をまとめた。
 3時間目は、2人1組になって発表の練習をした。「まだ時間が残ってる」
「ネタ切れ」などの声が上がり、話し続ける難しさを実感した生徒たち。斎藤教諭は、人物中心型や朗読型など、本の魅力を伝える手段には、いくつかの型があることを解説した。その後、五つの班に分かれ、発表の後に一番読みたいと思った「チャンプ本」を選んだ。
 そして10月中旬に開かれた4時間目の授業。5人の班代表によるビブリオバトルが行われた。話す内容を忘れて言葉に詰まる場面もあったが、それぞれが発表時間を上手に使い、お気に入りの一冊の魅力をクラスメートに訴えた。
 「僕たちの戦争」(荻原浩、双葉社)を紹介し、クラスのチャンプ本に選ばれた佐々木愛玖(めぐ)さん(14)は「繰り返し練習したので、発表の流れや時間の使い方が分かってきた」と笑顔を見せた。斎藤教諭は「生徒たちはビブリオバトルを通して、相手や場面に応じた話し方や、適切な語句の使い方を学ぶことができた」と教育効果を語った。

本が導いたセンバツ高校

 兵庫県有数の進学校として知られる県立長田高校。創部95年目を迎えた野球部は2016年春、選抜高校野球大会への初出場を果たした。普段は白球を追いかける部員が、年末が近づくと時間を割くのが、年明けのビブリオバトルに向けた練習だ。
 永井伸哉監督(45)が冬休みの宿題として、部員に読書感想文を課すようになったのは2010年ごろ。自分の考えをうまく伝えられない生徒や、野球の知識が十分でない生徒がおり、読書が解決策にならないかと考えた。
 その後、ビブリオバトルを知り、13年からは感想文の発表を競わせる形にした。毎年1月中旬ごろに開く書評合戦は、部の恒例行事として定着した。
 約60人の部員が選ぶのは、野球関連の本やビジネス書など。本の魅力を5分間かけて発表し、質問に答える。最後に投票で、部員らが一番読みたくなった「チャンプ本」を決める。
 2年の初田悠太朗さん(17)は2017年1月、初めてビブリオバトルを体験した。全体の構成など、準備を重ねて本番に臨んだという。「聞いている人をいかに引き込めるかが勝負。でも、実際にやってみると、言葉が出なくてなかなか難しかった」と振り返る。
 「部活に打ち込む姿しか知らなかった生徒たちの、違った一面を発見できた」と永井監督。「戦術確認などで意思疎通が欠かせない野球には、表現力やコミュニケーション能力が求められる。ビブリオバトルを通して、その重要性に気づいてもらいたい」と話した。

若者の応援 作家に力

 若い人たちがどのような本に魅力を感じているのか——出版社も全国大会の結果に注目するようになっている。
 2017年1月、高校の決勝大会でグランドチャンプ本に輝いた「ハリネズミの願い」の版元、新潮社は著者のオランダ人作家トーン・テレヘン氏に吉報を伝えた。発表した山梨県の高校生には、テレヘン氏から「今度、アムステルダムで会いましょう」と記したサイン本が送られてきた。同社は本の帯にも「高校ビブリオバトルグランドチャンプ本」と刷り込んだ。編集担当者は「若い読者に支持されるということは、作家にとって心強いはず」と指摘する。
 同じ大会で準チャンプ本だった「『手紙屋』僕の就職活動を変えた十通の手紙」。版元のディスカヴァー・トゥエンティワンは、発表した高校生がいる福井県内の書店に「全国大会で準V」のニュースを流し、大会結果を伝える新聞記事を店頭に飾った書店もあった。同社には「ビブリオバトルで『手紙屋』のことを知り、高校生の息子にプレゼントしました」といった手紙も寄せられている。
 著者の喜多川泰さんは「一冊の本には人生を変える力があります。ビブリオバトルをきっかけに、一人でも多くの若者が、そんな本に出会うことを願っています」と話している。

ご登場いただいた著名人