大学との共催で行う公開講座です。作家や評論家などの講演のほか、開催大学の教師との対談もあります。
基調講演「日本語で書くということ」〜作家・水村さんが日本文学の危機訴える私は父の仕事の関係で12歳からの20年をアメリカで過ごした。だが、アメリカになじめず、古い日本の小説を読んで育ち、やがて日本で小説家になりたいと思うようになった。アメリカから戻って日本に落ち着いたのは、1990年ごろである。私は
基調講演野球の縁で立教大学に入学私、この立教大学を出たんです。山口県の進学校の防府高校で3年間、野球を一生懸命にやっていて、甲子園へあと一歩というところで負けてしまいました。立教の野球部へ入ると決めたのは冬だった。セレクションを経て「文学部に行ってくれないか」と言われ、日本文学科に入ったんです。本を
基調講演「取材する文学」/藤原智美さん活字を読む人たちのために書き続ける芥川賞を取った『運転士』は1991年ごろ、書きたいと思った。バブルの時代で、世は浮かれていて、小説の主人公もカメラマンとかデザイナー、名前もカタカナ、ニックネームみたいなものが多かった。僕はそれが嫌だった。職場に根ざした小説を書
普段と違う時間流れる本や新聞などの活字文化を考えようと、12日に奈良市の奈良女子大記念館で開かれた「活字文化公開講座」(活字文化推進会議、奈良女子大主催)。直木賞作家の林真理子さんらが講演し、読書観などについての話題にも花が咲いた。コピーライターを経てエッセーを書き、小説家になった林さん。本屋を営ん
基調講演「太古とつながる未来」/島田雅彦さん快楽や生きていて良かったということ全般をエロスと見なせば、それに対応する形で、死にそうな目に遭うとか、ひどい目に遭うとか、生存にとって不利なことを要求してしまうのが人間だ。それがいつも対抗し合うというのが、人が生きるということではないか。まるで起源の分から
基調講演「本を読み、親しむ楽しさ」/奥泉光さん読むことの創造性読むというのはどういうことか考えたい。本は、物として考えた場合、紙についたインクのしみに過ぎない。日本語を習得した人間にとっては有意義だが、日本語のできない人には、インクのしみとしか言いようがない。そう考えると、我々はインクのしみから一人